もし外資系コンサルタントがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

どうなるんでしょうかね。
さっさとマネージャーやパートナーに昇進できたりしますか?笑

最近流行りのマネジメント、読んでみました。

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

1、マネジャーの資質

マネジャーは、人と言う特殊な資源とともに仕事をする。人は、共に働く者に特別の資質を要求する。人を管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶことはできる。管理体制、昇進制度、報奨制度を通じて人材開発に有効な方策を講ずることもできる。だが、それだけでは十分ではない。根本的な資質が必要である。真摯さである。最近は、愛想よくすること、人を助けること、人づきあいをよくすることが、マネジャーの資質として重視されている。そのようなことで十分なはずがない。

一見して読み流しそうなところですが、非常に示唆に富む言葉が書かれています。
マネジャーは人をただ助けたり、優しいだけではダメ。部下に対しても自分に対しても高い品質の仕事を要求し、誰が正しいかよりも何が正しいかだけを考える。そういう天性の才能を持つ者こそがマネジャーとしての「真摯さ」である、とドラッカーは語っています。
これは厳しいですね。
なぜならば、このような資質は努力によって後天的に勝ち取れるものではないからです。
自分でいうのもなんですが、私は人に甘く、助けてしまう方です。また、他者に一流の仕事を要求したりもそこまでしていない気がします。ということは、自分に対してもそれほど高いハードルを課してはいないということです。

目が覚める想いをしました。
真摯さを自分が持てるかどうかは置いておいて、一流の仕事をする、と心を決めました。


2、目標管理

マネジャーたるものは、上は社長から下は職長や事務主任に至るまで、明確な目標を必要とする。目標がなければ混乱する。目標は自らの率いる部門があげるべき成果を明らかにしなければならない。他部門の目標達成の助けとなるべき貢献を明らかにしなければならない。他部門に期待できる貢献を明らかにしなければならない。目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおかなければならない。それらの目標は、常に組織全体の目標から引き出したものでなければならない。組み立てラインの職長さえ、企業全体の目標と製造部門の目標に基づいた目標を必要とする。

あなたは勤めている企業の理念・目標をしっかり把握していますか?
ほとんどのビジネスパーソンは目の前の業務やノルマをこなすことに必死になってしまい、企業の目標にまで目が届かないことが多いのではないかと思います。
しかし、真に一流になりたいのならば、自分や自分がマネージする部下・仕事がどのように全社に影響を与えているのか考え抜かなければなりません。企業としての目標をしっかり考えたら、後はそれをブレークダウンして自分のタスクにまで落とし込みます。あとはそれを実現する道筋を描けばいいだけです。
そこまでやっていれば、自然と職位も上がっていくのではないでしょうか。

3、真摯さなくして組織なし

真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。それはまず、人事に関わる決定において象徴的に表れる。真摯さとは、とってつけるわけにあはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たり得る。だが、真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのようなものをマネジャーに選ぶことを許さない。真摯さの定義は難しい。だが、マネジャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。
①強みよりも弱みに目を向けるものをマネジャーに任命してはならない。できないことに気づいても、出来ることに目のいかない者は、やがて組織の精神を低下させる。
②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つものをマネジャーに任命してはならない。仕事よりも人を重視することは、一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる。
③真摯さよりも、頭の良さを重視するものをマネジャーに任命してはならない。そのような者は人として未熟であって、しかもその未熟さは通常なおらない。
④部下に脅威を感じるものを昇進させてはならない。そのような者は人間として弱い。
⑤自らの仕事に高い基準を設定しないものもマネジャーに任命してはならない。そのような者をマネジャーにすることは、やがてマネジメントと仕事に対する侮りを生む。

知識も指してなく、仕事ぶりもお粗末であって判断力や行動力が欠如していても、マネジャーとして無害なことがある。しかし、いかに知識があり、聡明であって上手に仕事をこなしても、真摯さにかけていては組織を破壊する。組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。組織の精神を損ない、業績を低下させる。

厳しい。この五つの条件に当てはまらないマネージャーなどほとんどいないのではないでしょうか。しかし、真にプロフェッショナルとして大成したいのなら、この五項目に当てはまらないように自制していかなければならないでしょう。特に大事なのは、①だと私は考えています。特にコンサルタントにありがちなこととして、「問題はどこか」と考える思考があげられます。もちろん問題を探して解決するのは重要なことですが、人にこの思考を適用するのはいかがなものかと私は考えています。欠点ばかり指摘されると人はモチベーションが下がり、さらに結果が出なくなる悪循環に陥ってしまいます。プラスの面に目を向けてくれるマネージャーは確かに求められているでしょうね。